宇宙を比較的理解できそうな感じにさせてくれる本

宇宙に関する本の紹介です。「重力波で見える宇宙の始まり」というのがその本です。

「宇宙」の研究は進んでいると思っている割には、新しい事実が表に出てきません。 これは、例えば、「NASAがこんな発見をした」と言っても、それは仮説でしかないので、その研究成果発表はあっても「定説」になるには長い時間がかかります。

この本は、2017年にBLUE BACKS:講談社 刊行で、発刊後の年月が経っていますが、現在の宇宙の話題に出てくる用語などがわかりやすく解説されていて、古さを感じませんし、むしろ新鮮さがあるので紹介させていただきます。

宇宙本にある事実はほとんど仮説の域をでない

私はこの本と、1994年に発刊の「宇宙論の危機(マイケル・D・ルモニック著:小林健一郎訳:ブルーバックス)」がお気に入りで、何回も読み直しています。

両方ともに、発刊されてかなり日時が経っており、市中在庫も少ないようですが、「宇宙論の危機」に書いてある内容は、発刊以前の20年以上前の観測などで書かれていいるでしょうから、すでに50年前の内容が書かれているのですが、不思議なことに、現在の多くの新刊書物の内容とそんなに変わらないことが驚きです。

宇宙の話題はいろいろ出てきてはいますが、誰も客観的事実を確かめることができないので、ほとんどは仮説という扱いです。

ですから、古いからだめということではなく、30年以上も仮説が変わっておらずに定説にならないことも驚くのですが、古さを感じない内容で書き方も面白いので、何回も読み直しても退屈しないほどうまく書かれています。

もう一つの「宇宙論の危機」はドキュメンタリー調の内容でマニアック感が強いのですが、この「重力波で見える……」は翻訳もうまく、「宇宙好き」だけでなく、誰でも楽しめる内容で読みやすいでしょう。

ただ、時間が経ちすぎているので通常の販売品はないかもしれません。 安価な古本でも見つかれば、儲けものだと思いますので、ぜひ探しあてれば読んでみてください。

ブルーバックス 重力波で見える宇宙のはじまり

(おことわり)「宇宙のテーマ」をこのブログで取り上げるのは、畑違いの感じですが、1500円までの価格で、難しい化学知識やアインシュタインの理論を知らなくても、宇宙を楽しめる商品ですので紹介させていただきました。

この1冊でロマンと満足が得られるのであれば、「生活に便利なもの」としても値打ちがあるという意味合いですのでご了承ください。

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宇宙の本は、数多くあるけど、読んでも満足しないものが多い

宇宙に全く興味がない人はほとんどおられないでしょう。 そして、宇宙好きの方はきっと、宇宙に関するいろいろな本を購入して読んでおられるでしょう。

 →宇宙論に関する本だけでもたくさんあります(Amazonのページ)

でも、書かれている内容は様々なのですが、優しく読めるものは頼りないし、もっと深く知ろうとすれば、難しい計算式などが入ってくるので、色々な本を読んでいても、結局は、わからないところはわからなくて、モヤモヤしている・・・という人が多いのではありませんか。

もちろん私もその一人です。

この理由は、宇宙の事象は直接に測定できないために、地球上のことのように、簡単に誰もが検証できないものなので、著作者による表現の仕方によって力点が変わってくることがモヤモヤの原因のように思っています。

さらに、「仮説」から定説にならないものがほとんどなので、何が信憑性があるのかさえもわかりにくいのです。

極端に言えば、NASAが新しい発見をしても、ニュースにはなるけれども学説に組み込まれるのはかなり遅れるという状況です。

だから、これだけ有名になっている「アインシュタインの相対性理論」にも、今でも真剣に異議を唱えいる人がいるように、どうも、「宇宙は、わからないことだらけ」のために、本の著者とすれば、新しい発見についても、自分の考え方を殺さないようにして、多くの憶測(仮定や他者の考え方)を含んだ内容でつじつまを合わせて書かないといけない上に、できるだけ専門的な内容を少なくして、一般人にわかりやすく書こうとなると、どうしても、曖昧になってしまうのかもしれません。

変な話ですが、宇宙に関する最新のものさえもわかりにくい状況です

最先端をいっているはずのNASAの発表も小出しです。 そして最新情報が何なのかもよくわからないことが多いのですが、これは、人間が宇宙に行って確認したものではないし、探査ロケットが採取したデータを解析するにも何年もかかるうえに、その間にも、過程や推論を色んな人がそれぞれに発表します。

それらのいずれもが追加の検証も難しいので「仮説」にとどまっています。

さらに、確立されているとされる理論や定説に対しても、仮説を抜け出していないので、宇宙論者や科学論者の中には、その見解に反対意見を持っている場合も多い状況でその意見を発表するので、一般読者はなおさら何が正論なのかは、自分が良しとする本などで判断するしかありません。

それが証拠に、宇宙の半径が138億光年と言っても、様々な数字が消えたわけではありませんから。

(ほとんどは取り上げられていませんが)今や定説になったビッグバン説やアインシュタインの相対性理論にも反対の考えを持っている人もたくさんいるというのですから、闇雲に書籍を購入して読むと、惑わされてしまうのは無理もありません。

しかし、この「重力波で……」は意外としっくりきます。

100億年以上前に起こったビックバンも反対意見がありますし、「宇宙論」でも、いろいろな対立する考え方がある状況にあって、それぞれの研究者が、自分の考え方で「宇宙」を解説しているのですから、一般の人がイメージを固定しにくいのは仕方がない感じもします。

だから、著者の考え方を知って書籍を読まないと、どんどんわかりにくいものになってしまう可能性があるのですが、それらを理解するのはそれなりの知識がいるので、ほとんどの人は適当な内容で割り切っていることと考えると、本を見極めることは大事なことといえます。

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重力が宇宙を支配しているというのもワクワクする考え方

ここで紹介している「重力波で見える宇宙のはじまり」という本は、少し違った切り口で宇宙を紹介していて、「宇宙の状況の解明は、重力波の研究が進めば、宇宙の始まりや現在の様子を知ることができる・・・」という見方に立っています。

もちろん、これらの内容も仮説の域にあるものが取り上げられているのですが、「未知な部分や異論部分」については、比較的に客観的な見方で書かれており、いろんな科学者の考え方のスタンスがわかるように書かれているところが安心できます。

この「重力波」についても、ようやくその存在がわかってきた程度ですし、よく言われる、ダークマターやダークエネルギーが何であるかも、百家争鳴の状態にあって、現在でも、数多くの科学者や研究者それぞれが「宇宙」について解明しようとしている過程ですので、この本の内容も、10年経つと変わっているかもしれません。(… が、実際には何も新しいものに出会っていませんが)

ただ、この本も2000年以前の内容で、現在でも、それらの多くが定説になっていない状態ですから、宇宙について、比較的新しい「重力波」で検証しようという方向で書かれていても、決して「変な本」ではないと感じています。

内容をミニミニダイジェストで紹介

ニュートンが見つけた万有引力がこの宇宙をも支配しているという考え方にそって、近代までの運動理論が構成されてきたのですが、急に、アインシュタインの相対性理論によって、宇宙は単純ではなさそうだということがわかってきました。

たとえば、重力は、光などの質量がない … とされる素粒子にも作用しているなどがわかってきたのですが、そうなると、相対性理論は量子論と相性が悪いので、そうなると、宇宙の出来事が解明できない点が出て来ることにもつながります。

もちろん、相対性理論では説明できない点は、量子物理学からのアプローチによって解明が進んでいるのですが、まだまだ現在では説明できない「何か」が、この宇宙に多くあるようなのです。

それがダークマターやダークエネルギー、重力子などですが、それらを解き明かすための道具の一つが「重力」でありそうなのです。

だから、重力の研究によって宇宙解明の新しい道が開けるのではないだろうか … という内容で書かれた本です。

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断片でなく、一連の考え方が書かれている点がいい

私自身、ダークマターやダークエネルギーという言葉を知ったのは平成年代の初めでしたが、現在でも、それが何なのかがわかっていないという状況で、理論や現実の解明は遅々としている現況です。

その状況で、138億年と言われる宇宙の成り立ちなどを、針の先のような小さい事象の観測で明らかにしていこうとしているのですから、宇宙の事象の解明には、いくつもの異論(仮定)があるのは当然でしょう。

だから当面は、いくつもの考え方が混沌としている状況が続いていくのでしょうが、それらを整理しながら、宇宙を解き明かしていく1つの方法として、重力波の研究が有効になっていくだろうという見通しが本書の底流にあります。

そして、重力波による解明の必要性を、現在の相対性理論的な宇宙の概要や成長の過程、場・真空・反物質などの素粒子論的な見方、それらを総合した、ダークエネルギーの考察・ブラックホールと重力・宇宙の未来 … などを通じて説明しようとしている、かなり教科書的な内容ですが、翻訳本にありがちな日本語訳の違和感もほとんど無く、難解な曖昧さを避けていて読みやすさに考慮されているので、読んでいても嫌味やモヤモヤ感もありません。

これは翻訳者と監修者の素晴らしさと言えるでしょう。 ともかく、難しい内容でも通常の大人の知識でわかるようにうまく翻訳されています。

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少し古い本ですので、リンクを紹介のために、楽天とAmazonを覗いてみたのですが、新品本は欠品しています。新品本の価格は1,320円となっていますが、タイミングよく販売されていることもありますし、中古品があるようなので、販売されているのを見つけられたらぜひ読んでみてください。下のリンクには、その他の関連本も紹介されていますし、もしか「宇宙論の危機」という本が古本で見つかれば、(これは毛色は違うのですが)50年以上前のドキュメンタリーですが、現在でも充分に楽しめますので、読んでみてください。

 →Amazonに中古品があるかもしれません Amazonのリンクです。


(記事)R5.7月作成  R6年11月に確認

この記事を書いた人
きょくまめ

電気・電子や科学が好きなシニアです。
壊れた電気製品を直して嫌がられるなど、役に立つのか立たないのかわからないことをする趣味があるので、少しでも役に立ちそうなアイデアを紹介する記事を書いていこうと思っています。

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