電池は新旧混ぜて使わない 電池チェッカーは使ってはダメ

電池式の掛け時計が約1.5年で電池切れで動かなくなり、テスターで電圧を測ると、1.35V・・・つまり、新品の電池が1.6Vなので、0.3V程度の電圧が減っただけで、動かなくなります。

LEDライトやハンディーレコーダーで実験したところ、最近の機器は、非常にデリケートで、電池チェッカーでは残量判定はできません。

電池チェッカーでGOODの電圧でも、時計や機器が電圧不足で止まってしまいます。近年の機器では、電池チェカーの精度では不十分ですので、電池チェッカーは使わずに、安価なテスターでいいので、「テスター」を使って電圧チェックをするようにしましょう。

また、時計は1つの単3で動いていますが、2本以上乾電池を使う機器では、電圧の違う乾電池を混ぜて使うと、発熱や液漏れのトラブルの原因になります・・・このことは、わかっているようですが、事故が起きてからでは遅いので、乾電池について、もう一度、その理由や正しい使い方を確認しておきましょう。

まず、電池チェッカーを使っているなら、すぐの廃棄して、安価なデジタルテスターで十分ですので、一家に1台は購入されることをオススメします。安いものでも、十分使えます。持っていないなら、購入しておくと便利です。私の使っているものも、安価なものですが、便利で結構な頻度で使っています。記事の最後に紹介しています。

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我が家の電池チェッカー

どこの家にも、使っている(いた?)電池チェッカーですが、単1、単2、単3、006Pなどの乾電池の残量チェックに使っていませんか?

下での実験のように、1.35Vで時計が動かなくなったように、現在のLEDや電子機器も、電池チェッカーでは測定できないほど、非常に電圧に敏感です。電池の価格も安くなったので、ともかく、交換する場合は、新品を開封して、全部一度に交換するようにしてください。

電池を混ぜて使わない、電圧の違う乾電池や、アルカリ電池とマンガン電池などの電池を混ぜて使ってはいけない理由を知っていますか?

詳しい説明は難しいのですが、乾電池は内部の化学反応で電気を作っているので、起電力(電圧)が違うと、電池同士が反応しあって、発熱事故や液漏れ事故になる危険があります。

乾電池を使うと、新品のときよりも電圧が低下します。起電力が低下すると、内部抵抗が増加します。3Vの仕様で、2つ直列にした乾電池を使うと、2つが同じように電圧低下するので問題ないのですが、電圧の違うものをつなぐと、どちらかの乾電池が内部で無理をしている状態になっています。

1.6Vと1.6Vを直列にすると3.2Vになり、1.6Vと1.4Vを直列にすると3.0Vになります。しかし、1.6Vと1.4Vでは、電圧(=電気を押し出す力)が違うので、双方が無理をする状態になります。

0.1Vの電圧の違いでも意識しないといけないレベルの問題ですので、たとえ、電圧を正確に測ったものでも、他の電池と一緒に使わないようにしないと、電池の発熱や液漏れを起こす危険性があるということを知っておいてくださいね。

電池チェッカーのいい加減さを知ってください

そこで、私が電子工作用に使っている「定電圧電源」を用いて、いろいろな電圧を加えて、針の触れ方を見てみました。

電圧を加えたチェッカーの表示

・・・すると、このように、1.3Vでも「GOOD」ですし、1.8Vの過電圧を加えても、振り切れていません。

こんなにいい加減な表示ですので、もしも電圧の低下を確認したいのなら、このような「電池チェッカー」は使わないようにして、安価なテスターを使用しましょう。

ほぼ正確な電圧がわかりますので、デジタルテスターをお持ちでない方は、ぜひ、1つ購入しておくと、色々と使い道があります。

ただ、電圧が正確に測ることができても、上に書いたように、使用して少しでも電圧の低下した電池や、種類の違うアルカリ電池とマンガン電池などを混ぜて使うことも危険だということを忘れてはいけません。

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乾電池について知っておきましょう

最近は、乾電池を使う機器類が減ってきて、充電タイプのものも多いのですが、乾電池を使用する機器類もまだまだ多いので、もう一度乾電池の知識を整理しておきましょう。

1)新品の電圧(起電力)は1.6V程度で、1.5Vではありません

乾電池にはアルカリ電池とマンガン電池があります。 一般には、アルカリ電池のほうが電流を多く流すことができます。(こちらを参考に)

電池の電圧は1.5V・・・と思っている方も多いようですが、新品の乾電池をテスターで測ると、1.6V以上あり、むしろ、1.5Vでは、新品でないことを疑わないといけません。

そして、この0.1Vの違いは、電池に関しては、非常に大きいのです。

ちなみに、アルカリ電池とマンガン電池の単3サイズでは、4から20本などのセットが販売されていますが、現在は、日本国内での製造品はなくなり、外国製造の製品を輸入していますが、安価だから短寿命だということはないですし、100円ショップで販売されている新品のセットの電圧を測ると、電圧の差がほとんどないくらいに安定した品質の乾電池が販売されています。

それらのセットごとにそれぞれの乾電池の電圧を測ってみると、1.58V~1.66V程度と、購入した時点や銘柄の違いで初期電圧の差がありますが、すべてが1.5Vよりも高い電圧になっており、さらに、そのセット内の電圧は、0.01V以下の小さなばらつきしかない状態で販売されているので、セット内の全部が同じ程度の「揃った電圧」になっていますので、同じセットから取り出した乾電池を同時に使うようにすれば問題ありません。

2本、4本を同時に使う機器では、テスターで電圧を確認して組み合わせて使わないで、同セットの新品に変えます。

残った乾電池は、包んであるセロファン紙を捨てずに、新品であることがわかるようにしておき、もしも、使用する本数が足りなければ、新品のセットを開封して、セット内のものを使うようにしましょう。電池の価格は安くなっていますし、機器を痛めるよりもマシでしょう。

アルカリ電池よりも、マンガン電池のほうが全体的に新品の電圧が高く、電流容量はマンガン電池よりもアルカリ電池のほうが大き位という、これらは、全く声質の違う乾電池ですので、違う種類のものを混ぜて使うのも不可です。

私の測定で調べたところ、マンガン電池の新品の電圧は、全て1.65V以上で、アルカリ電池は、1.65を超えるものはありませんでした。そして、いずれの数本セット内の電圧のばらつきも、(テスターですので正確ではありませんが)0.005V以下で、100円ショップで購入したものでもすべて同様でしたので、2本以上を交換する場合は、同一セットの新品を使えば問題はありません。

2)使用すると、徐々に電圧が低下し、使わないと電圧が回復してきます

アルカリ電池は、同じサイズのマンガン電池にに比べて、大きな電流を取り出せますが、いずれの電池も、大きな電流で使えば、電圧の降下も大きくなります。

そして、使わないで休ませると、いくらかは電圧が回復しますが、初期の電圧まで回復することはありません。

たとえば、同じ種類の電池をペアで使うと、両方が同じように電圧が下がっていき、使わないと、同じように揃って電圧が回復しますが、新品の電圧まで回復することはありません。

マンガン電池のほうが電圧の回復力が高いのですが、使用したときの電圧降下がアルカリ電池に比べて大きいので、小電力で間欠使用では、電圧降下が少なく回復力が大きいアルカリ電池が長持ちします。一般的には、価格の差が2倍以上なければ、アルカリ電池を使用するほうが長持ちします。

マンガン電池の回復力が高いと言われていて、そう信じている方も多いのですが、私が実験してところ、そうではなく、どの乾電池でも使わないと電圧は回復していくものの、元の電圧に戻ることはないので、使用時の電圧降下の少ないアルカリ電池のほうが優れているのは間違いありません。(→こちらに私の記事あり)

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ここで、電池の寿命例を調べてみたので紹介します。驚くほど、高い電圧の時点で使えなくなるというところを見ておいてください。

電池寿命と電圧低下の状態を調べてみた

①単4×4本のLEDライトの場合の電池の交換時期(@1.2Vで寿命)

自転車用LRDライト LED部分

このLEDライトの電池部分を見ると、単4電池4本を使って、5つのLEDが点灯するようになっています。新品の電池では1.6Vx4本=6.4Vで非常に明るく点灯します。

これを、上で用いた可変電源を用いて、6.4Vから徐々に電圧を下げていって、その明るさがわかるように写真にとってみました。

電圧を変えたときの明るさ

10%の電圧低下では、暗くなった感じがありませんが、電圧が30%低下する2番目の写真の状態の電圧になると、明らかく暗くなってきているのがわかります。

最後の写真のように電圧が極端に低下していても、LEDは光っていますが、ライトの役目を果たさない明るさです。

30%ダウン程度までであれば、明るさもそこそこあるので、この、少し暗くなる 4.5V/4≒1.1V 程度の電圧になれば、電池の交換を考えたほうが良いということになります。

電池チェッカーでは、GOODの最低が1.3Vでしたので、乾電池4個直列では、1.3Vx4=5.2Vで、写真の4.5Vの場合以上の電圧ですので、この場合は、電池チェッカーで、実用的な寿命が判別できていることになるのですが、電池チェッカーは使わずに、「暗くなってくると、電池交換をする時期だ」ということを知っておくほうが実用的です。

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この、「何ボルトになると寿命なのか・・・」ということについては、難しい問題があります。

電池メーカー(パナソニックさんのHPによる)では、0.9Vに電圧が低下した時点を「寿命」と仮定して使用時間を決めているようですが、この例の場合は、0.9Vでは暗くなってしまうので、このLEDライトでは、1本あたり、1.2Vになると電池の寿命(交換時期)ということになります。

次は、もっとシビヤーな、音質に関係する例を紹介します。

②高音質のハンディレコーダーでは、・・・1.40Vで寿命

高性能レコーダーの場合 電池マークで残量表示

これは、単3電池1本で動作する、PCMレコーダーです。YAMAHAさんのこの製品の性能は音質のみならず、寿命の長さも素晴らしく、単3電池1本で、いつ電池を替えたのかを忘れるほどに長く使用できる製品です。

これについても同様に、乾電池に変えて、可変電圧装置を用いて、1.60Vから徐々に電圧を低下していったところが、1.40Vになると、残量表示が「3本から2本に」なりました。そして、順次本数表示が減っていって、1.35Vで電池交換のサインがでました。

しかしこの1.35Vが寿命ではなく、音楽の再生音を聞いていると、残量が3本(Full)のときは高音質で問題ないのですが、残量が2本の1.4Vから1.38Vに電圧が下がると、急に、再生音が歪んだ感じになるので、この場合は、残量表示が1本減って「2本の状態」になる1.4Vが電池の寿命(交換時期)ということになります。

音は非常にデリケートですので、思った以上に、早めに電池交換しないといけないのですが、上に書いたように、この製品は、省電力設計なので、音楽再生だけなら、非常に長い間楽しめます。YAMAHAさんの品質の良さには感謝感謝です。

最後に、モーターの場合を見てみましょう。

③DCモーターは、電圧が下がるといともに回転が低下します

おもちゃなどは、「動けばいい」ということから、もっぱら電池チェッカーが使われてきたようですが、おもちゃに使われる「ブラシ付きDCモーター」は、電池の電圧が低下するにつれて、モーターの回転数が低下します。

タミヤ製ギヤボックス いろいろな工作に使えるタミヤの部品類のページへリンク

このギヤボックスと可変電源を使って、電圧とモーター回転数を測ってみました。(ギヤーで減速しているので、一定時間の回転数にギヤ比を掛けると、おおよそのモーターの回転数が簡単に分かるので、このような実験をしました)

このモーターは3Vが標準で、ギヤーだけの無負荷の状態で実測してみると、3Vでは160mAの電流が流れて、この電流は、単3では容量的にしんどいくらいの大きな電流が流れています。

DCモーターの電圧と回転数

新品の乾電池2本では3.6V程度の電圧で、使うにつれて電圧が低下します。30%の電圧が低下したときの電圧(3.6Vx0.7≒2.5V)では、回転数も30%程度落ちてしまっています。

もちろん、負荷の加え方によっては、電圧が低下するとモーターが止まってしまうのですが、用途によって負荷の状態で変わるので、何ボルトになると止まってしまうのかはわかりませんが、この場合は、無負荷ですので、1本あたりの電圧が0.75V(2本で3V)以下になってもモーターは回っていました。

この例でも、電池チェッカーの「GOOD・BAD判定」は、あまり役に立たないと思います。

③1家に1台、テスターを!

私は電子工作が趣味なので、現在は3台のテスターを使っています。 3つも持っているのは、電子工作で、電圧・電流などを同時に測るためですが、電流計・電圧計を個別に買うよりも、テスターのほうが安価で便利・・・といういいことだらけなので、これらを常用しています。

ともかく、1家に1台でOKです。テスターがあると、導通を測ったりする場合にも使えるので、結構役に立ちます。

この際、あてにならない電池チェッカーを廃棄して、テスターを使う習慣をつけましょう。

私の使っているテスター

これらの価格は、左から、2650円、440円、2980円で、安いものですが、このように、適当な電圧を測ってみると、3つとも数値がほぼ揃っています。 500円以下のものでも、そこそこ正確な電圧が測定できている感じがします。(正確かどうかはわかりませんが、不正確ではなさそうです)

ここでは、テスターの使い方などは示しませんが、ここで測定した直流電圧・直流電流だけでなく、導通確認や抵抗値も測定もできて便利ですし、その他の用途にも使えます。

真ん中の500円以下の「安いもの」でも、一般的使用には全く問題なく、びっくりするほどです。 もう一度、Amazonと楽天のページのリンクを紹介しますので、適当なものを1台持っておくといいでしょう。

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以上になります。


(来歴)R4.9ページを移転し内容を一新 R4.10見直し 最終R5.3に誤字脱字を含めて見直し。

この記事を書いた人
きょくまめ

電気・電子や科学が好きなシニアです。
壊れた電気製品を直して嫌がられるなど、役に立つのか立たないのかわからないことをする趣味があるので、少しでも役に立ちそうなアイデアを紹介する記事を書いていこうと思っています。

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