乾電池は1.3Vで使えなくなる 今までの常識を再確認しよう

乾電池が使えなくなる電圧を知っていますか? 新品の乾電池の電圧は1.6V程度ですが、最近の機器類は機械の性能維持もあって、1.3V程度で使えなくなるのが多いのです。そして、電圧や種類の違う乾電池を混ぜて使うと発熱して危険なのですが、もう一度、乾電池の基本知識を再確認しましょう。

乾電池の簡単な知識の再確認

最近は、充電するタイプの電池を使う機器が多くなってきましたが、使い捨ての乾電池を使用する機器類もまだまだ多いようです。 アルカリ乾電池も安価で品質の良い外国製品もたくさん販売されていますから、もう一度乾電池の知識を整理しておきましょう。

電池の基礎知識

「電池全般」になると、かなり広範囲になりますが、基本事項を確認しておきましょう。

電池は、使い捨て一回使用の「一次電池」、充電し繰り返し使える「二次電池」、化学反応で電気を発生させる「燃料電池」、太陽エネルギーを電気に変える「太陽電池」などに分類分けされています。

電池工業会のHPで、電池(燃料電池や太陽電池を除く)の国内製造金額をみると、二次電池(リチウムイオン・アルカリ・鉛など)が全体の9割を超えていて、さらにその6割がリチウムイオン蓄電池で、それも、ほとんどが車載用がメインです。

普段からたくさんの使い捨ての「乾電池」を使っているのですが、電池の製造数では、一次電池(マンガン、アルカリ、空気亜鉛、酸化銀などの電池)が60%、充電して使用する二次電池は40%で、よく使われているアルカリ乾電池は、数量では、全電池の24%と最多ですから、やはりたくさん使われています。

「アルカリ電池」と一般的に呼んでいるものはプラス極が二酸化マンガン、電解液が強アルカリの水酸化ナトリウムのもので、分類上の名称は「マンガンアルカリ乾電池」といいます。

ここでは、通常の言い方通りに、従来からある普通の乾電池を「マンガン電池」、形状が同じでハイパワーの「マンガンアルカリ電池」を「アルカリ電池」としています。

色々な電池があるものの、近年の国内の製造割合は、二次電池のリチウムイオン蓄電池やアルカリ蓄電池の産業需要がまだまだ増える傾向ですし、国内で作られている一次電池も、外国製のアルカリ電池が主流になっています。

二次電池の「アルカリ蓄電池」は、わかりやすく言えば、ニッケルカドミウム(ニカド)蓄電池、ニッケル水素蓄電池などの2次電池のことで、大電力で低温に強いことと、電力あたりコストがリチウムイオン電池よりも安価なこと・・・などから、今後は、産業用のバックアップ電源などで生産量の増加が見込まれています。

しかし現在の製造量の主流は「リチウムイオン蓄電池」で、これは、出力が大きく、取り扱いに優れているので、ますます生産量を伸ばしています。ただ、充電事故などが気になりますが、専用の充電器で正しく充電すると問題はほとんど起きません。

一次電池では、現在の主流は、使いやすくて安価な「乾電池」のアルカリ電池マンガン電池ですので、ここからは、これらについて見ていきます。

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乾電池はアルカリ・・・になっていきそう

「乾電池」では、アルカリ電池(分類では「アルカリマンガン乾電池」ですが、一般的な言い方でアルカリ電池としています)やマンガン電池がよく使われます。

それら以外には、リチウム・酸化銀・水銀・二酸化マンガンリチウム・空気亜鉛・・・などの乾電池の種類がありますが、主流は、単1から単3のアルカリ乾電池かマンガン乾電池です。

そのマンガン電池も、安価な外国製アルカリ電池が増えて、外国製品に置き換わってきており、すでにマンガン電池は国内では生産されていません。(現状では、単価が安いことでの需要があるのか、多くの日本のメーカーも、マンガン乾電池の外国製品やOEM製品が販売されています)

現在販売されているアルカリ電池・マンガン電池には水銀は含まれませんが、その他の一次電池には水銀が含有するという理由で、すでに、水銀が含まれるものは、国内製造の禁止や禁輸の方向になっていますので、性能や特徴が優れていても、環境重視の傾向から、水銀を含有する電池は時間とともに消えていく運命です。

過去には、アルカリ電池は高価だったので、マンガン電池が多く使われていたのですが、現状では、安価な輸入品が多く販売されていて、電池性能もマンガン電池より優れるので、マンガン電池も国内から消えていくことが予想できます。

【乾電池と湿電池】 乾電池は、日本人が明治時代に、時計用の乾電池を作ったのが最初です。 それまでは、「湿電池」が用いられていました。

湿電池は、ボルタの電池などのように、液体の電解液から電気を取り出すもので、それが固形で小サイズの使いやすい乾電池に変化していったのですが、現在使われている、充電しないで使い捨てで使う一次電池のすべては「乾電池」に分類され、湿電池は2次電池しかありません。

単1・単2・単3の呼び方】 現在、円筒形のアルカリ電池やマンガン乾電池は、電気容量の一番大きい「単1形」から、ミニサイズの「単5形」までが販売されています。

この呼び方は、日本独自のもので、昭和初期頃までの電池は、いくつもの電池を直列にして高電圧を取り出して使用するものが多く、その一つが「単位電池・素電池」といい、その単位電池の「単」をとって、当時に最初に作られた電池のサイズを「単1」としたようで、その呼び方が今も残っています。

その頃は、戦争機運が高まって、英語禁止も加わって、この「単1、単3」などの日本独特の名前が定着してしまったようですが、もちろん、この呼び方は「日本だけ」しか通じませんが、残したい呼び方と思っています。

近年は、外国製の乾電池も販売されていて、アメリカでもちいられている「AAやAAA」、国際規格(IEC60086:JIS C 8500)の「L6・L03」などを目にすることもあるでしょう。

ただ、単1や単3に慣れた私達は、国際規格の記号はわかりにくく、当面は「日本読み」でも問題ないのですが、最低限のことは知っておくほうがいいかもしれません。

アルカリ電池(分類では、アルカリマンガン電池)は「L」、マンガン電池は「表示なし」の表示で、円筒形タイプは「R」から、単3のアルカリ電池は「LR6」、単4マンガン電池は「R03」という・・・などが国際的な呼称名ですが、これらは、アメリカのAA・AAAなどの呼び方とともに、次第に増えていくでしょう。

ただ、この国際呼称の「6」などの数字は、大きさで分けているのはわかるのですが、JISの資料を調べても、数字の意味がよくわかリません。規格上は、LR6 のサイズなどの詳細は決められてそれに従うことになっていくのでしょうが、「単1・単3」などの日本読みは残ってほしいと思います。

日本の呼称 アメリカの呼称 円筒形アルカリ電池の国際規格呼称
単1形 Dサイズ LR20
単2形 Cサイズ LR14
単3形 AAサイズ LR6
単4形 AAAサイズ LR03

 

アルカリ電池とマンガン電池】 何度も書いているように、アルカリ電池は、「アルカリマンガン乾電池」という分類名称です。

両方とも、正極が二酸化マンガン、負極が亜鉛で、どちらも同じですが、構造が違い、アルカリ電池には、電解液が強アルカリの水酸化ナトリウムが使われるので、「アルカリ電池」と呼ばれます。

アルカリ・マンガンのどちらも新品の電圧は1.6V強で、外形やサイズは同じですが、アルカリ電池はマンガン電池よりも電気を取り出したときの電圧降下が小さい(つまり、「強く長持ち」)ので、「両者は全く別の電池」と考えておかないといけません。

混合して同時に使うと、内部抵抗の違いから、乾電池内でガスが発生して変形や発熱や、さらにそれに伴う「液漏れ」が発生しやすくなります。

とくに、アルカリ電池は強アルカリの水酸化ナトリウムが漏れ出すと機器を破損するだけでなく、人体に直接に液が触れると非常に危険です。

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新品の電圧(起電力)は1.6V以上です。 1.5Vではありません

乾電池はアルカリ電池とマンガン電池が一般的に使用されています。 同サイズ(例えば単3形同士)で比較すると、アルカリ乾電池のほうが電流を多く流すことができます。

乾電池の電圧は1.5V・・・と思っている方も多いようですが、これは「公称電圧」で、新品の乾電池をテスターで測ると、1.6V以上あり、むしろ、テスターで測って、1.5Vであれば、新品でないことを疑わないといけません。

そして、この0.1Vの違いは、乾電池に関しては、非常に大きく、多くの精密機器では、1.4Vまで電圧が低下すると、リミッターが働いて使えないことが起こってきますので、0.1Vの電圧の違いは重要です。

新品の乾電池パック(100円ショップで購入した単3や単4の4本や5本セット)の電圧をテスターで測ると、電圧の差(ばらつき)は0.01V以下で、パック内での電圧差(ばらつき)がほとんどありません。

メーカーが異なったり、別のパックのものの新品の電圧差を見ても、0.02V程度の差しかないので、100均の安価な乾電池であっても非常に高品質なことに驚きます。

そして、経験的なことですが、マンガン電池とアルカリ電池の新品の電圧を測ると、マンガン電池のほうが新品時の電圧が高いようですから、基本は、種類の違う電池を同時に使うのは問題で、同パックのものを使用するようにするのが安全です。

すなわち、アルカリ電池とマンガン電池を混ぜて使ったり、電圧の違う電池を使うと、いずれかが発熱や液漏れしやすくなります。

元々これらは化学的に内部で電気を作り出しているので、たとえ同じ形状や同じ電圧であったとしても、混ぜて使うことは絶対に避けましょう

種類や電圧の違うものを混ぜて、一緒に使わない

外国製の安価品であっても、標準品質は保証されていますし、新品の乾電池では、セット内では「揃った電圧」になっていますので、同じセットから取り出した乾電池を同時に使うようにすれば、乾電池の内部で異常な発熱をするなどの問題はありません。

ただ、新品であっても、他のパックとではロットの違いから0.02V程度の電圧の違いもありますから、あらたな新品のセットを開封して、新しいセット内のものに統一して使うくらいの慎重さがあってもいいでしょう。1本だけを使用するなら、新品であれば、そんなに気にする必要はありません。

アルカリ電池とマンガン電池も一緒に混ぜて使わないこと

アルカリ乾電池とマンガン乾電池は、新品の電圧はおなじ1.6V強程度ですが、構造や電解液が異なります。

同じ初期電圧でも、例えば、種類の異なる2本を直列にして電流を取り出すと、「内部抵抗」が違うので、内部抵抗の高い方に負荷がかかり、発熱や電圧低下などの問題がでます。

私の経験では、アルカリ乾電池の新品よりも、マンガン乾電池の新品のほうが、電圧が高く、電流容量はマンガン乾電池よりもアルカリ乾電池のほうが大きいですから、形状は同じでも、アルカリ乾電池とマンガン乾電池は、全く性能・性質の違う乾電池です。 マンガンとアルカリの乾電池を(直列でも並列でも)混ぜて使うのは絶対に不可です。

乾電池は、使用すると電圧が低下し、使わないと電圧が回復してくる

アルカリ乾電池は、同じサイズのマンガン乾電池に比べて、大きな電流を取り出せるものの、いずれも、使用すると電圧が低下していきますし、大きな電流で使えば、電圧の降下も大きくなります。

そして、使わないで休ませると、いくらかは電圧が回復します。

しかし、どのような乾電池でも、(0.1V電圧低下した乾電池を1ヶ月放置しても) 新品時の電圧まで回復することはありませんから、一度使った電池は、(もったいないかもしれませんが)再使用しない・・・と考えておくぐらいでいいでしょう。

余談ですが、一般には、マンガン乾電池は回復しやすい・・・と言われていますが、私が調べたところは、そうではありません。(→こちら

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乾電池の寿命は気になるのですが、一般的には、電圧が低下すると、機器などが正常に働かなくなるのが「電池寿命」ですが、実は、使うものによって変わる・・・ということを知っておかないといけません。

ここで、乾電池の寿命例を調べてみたところ、驚くほど、高い電圧の時点で使えなくなるというところを参考に見ておいてください。

乾電池寿命は電圧低下で正常に使用できない状態になる時点ですが・・・

①単4×4本のLEDライトの場合は @1.2V で寿命

自転車用LRDライト LED部分

このLEDライトの電池部分を見ると、単4乾電池4本を使って、5つのLEDが点灯するようになっています。内部の結線などは不明ですが、新品の乾電池では1.6Vx4本=6.4Vで非常に明るく点灯します。

これを、実験のために、乾電池ではなく、別の電源を用いて、6.4Vから徐々に電圧を下げていって、その明るさがわかるように写真にとってみたところ、30%の電圧降下で暗くなるのがわかりました。

乾電池1個の電圧で、30%の電圧が下がって1.1Vになると、正常な状態で正常な状態でなくなります。

よく、「電池は0.8Vまで使うことができる」とした想定寿命という言葉もありましたが、もっと早い時点で使えなくなってしまいます。

電圧を変えたときの明るさ

 

音楽プレーヤーの音の劣化では、もっとシビヤーです。

②高音質のハンディレコーダーでは、・・・1.40Vで寿命

高性能レコーダーの場合 電池マークで残量表示

単3乾電池1本で動作するPCMレコーダーの例です。

これも同様に、1.40Vで残量表示が「3本から2本に」なり、1.35Vで電池交換のサインがでました。

1.4Vでは、すでに、高音部で音が歪みだして、再生音が悪くなります。つまり、1.4Vになって、電池マークが減りはじめたら寿命です。

③DCモーターは、電圧が下がるにつれて回転が低下します

おもちゃなどは、「動けばいい」ということかもしれませんが、おもちゃに使われる「ブラシ付きDCモーター」は、電池の電圧が低下するにつれて、モーターの回転数が低下します。

タミヤ製ギヤボックス いろいろな工作に使えるタミヤの部品類のページへリンク

このギヤボックスと可変電源を使って、電圧やモーター回転数などを測ってみたところ、このモーターは3Vが標準ですが、その時の電流量は160mAで、単3ではかなり大きい電流なので、モーターを回すと、簡単に乾電池の電圧が低下していきます。

DCモーターの電圧と回転数

そして、この図のように、使うにつれて電圧が低下し、30%の電圧が低下した2.5Vになると、回転数が30%程度落ちています。

この実験は無負荷での回転ですので、電圧が1.5V以下になってもモーターは回っていましたし、乾電池1本あたりの寿命は メーカーが言っている0.9V以下の、0.75V程度までは使えるようですが、負荷の加え方によって、それまでにモーターが止まってしまうのですから、乾電池の寿命は、もっと早い時点になると考えておくほうがいいかもしれません。

その他にも、掛け時計や目覚まし時計で止まったときに電池の電圧を測ってみると、1.3V前後で止まって使えなくなるので、昔に言われていたように、1Vや0.8Vになるまで使用することはできません。

正確に電池の残量を見るのは、テスターを常備しておくことをおすすめします。

テスターは電圧、電流、抵抗を図るための道具です

テスターがあると、0.01V単位で電圧がわかります。 そして、導通を測ることにも使えるので、結構役に立ちます。

しばしば電池チェッカーを使っている人も多いのですが、不正確ですので、テスターを使う習慣をつけましょう。

私の使っているテスター

私は電子工作が趣味なので、電流計・電圧計を単独で購入するよりも安価で手軽なことで、安価な機種を3台持っています。 いずれも3000円以下の安いものです。(価格は購入当時のものです)

このように、適当な電圧を3つのテスターで測ってみても、3つとも数値がほぼ揃っていますので、どれが正確かはわかりませんが、不正確ではなさそうですから、安価なものでも充分に役に立ちます。

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この記事を書いた人
きょくまめ

電気・電子や科学が好きなシニアです。
壊れた電気製品を直して嫌がられるなど、役に立つのか立たないのかわからないことをする趣味があるので、少しでも役に立ちそうなアイデアを紹介する記事を書いていこうと思っています。

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